Nikon ZRを水中(ダイビング)で撮影する時のメリット・デメリットを経験則から記事にしてみました、実機(ハウジングが日本未発売)が届いたら、最速レビューさせていただきます。
Nikon ZR を水中映像で使う決定的メリット
1. RED由来のシネマ画質を“水中”で活かせる
- RED系の色科学・階調設計は、水中で最も破綻しやすい
青〜緑のグラデーション/白砂のハイライト/泡 に強い。
- Log系(RED由来プロファイル)で階調保持力が高く、後処理耐性が大きい。
実務効果
→ 深場・逆光・白砂×影でも「戻せる素材」が撮れる。
2. シネマ向け10bit以上の内部記録 × 高ビットレート
- RED技術統合により、高ビット深度・高データレートを前提に設計。
- 水中特有の「単色面積が広い画(青一色)」でもバンディングが出にくい。
実務効果
→ SNS圧縮後も色が崩れにくく、プロモ動画の品質が安定。
3. フルサイズ×シネマDR=自然光ダイビングに最適
実務効果
→ 大光量ライトに頼らず、リゾートの「自然な海」表現が可能。
4. RED的ワークフローと Premiere / Frame.io の親和性
実務効果
→
- Premiereでのカラー作業が論理的
- Frame.ioでの修正指示が明確
- 外注編集との連携がしやすい
5. Zマウント × シネマ運用の両立
- Zマウントの高解像ワイドは、
- ワイドレンズ+ドームポート
- 地形・群れ・ドリフト
との相性が非常に良い。
- フォーカスブリージングや解像ムラが少なく、動画向き。
6. 水中撮影で重要な「安定性」と「信頼性」
- シネマ機設計のため
- 熱停止が起きにくい
- 長回しに強い
- 記録の信頼性が高い
実務効果
→ マンタ待ち・群れ待ち・ドリフト1本撮りでも安心。
リゾート型ダイビングショップとの相性
| 運用目的 |
Nikon ZR の強み |
| SNS縦動画 |
色破綻しにくい・編集が速い |
| プロモ映像 |
シネマ画質・Log前提 |
| お客様記念動画 |
肌色・海色が自然 |
| 外注編集 |
RED系思想で通じやすい |
正直な注意点(導入前に知るべき)
- ハウジングは高価格・大型化しやすい
- シネマ設定は運用ルール必須(適当に撮ると重い)
- ファイル容量が大きい
結論
Nikon ZR は「水中でシネマ画質を“実用的に”回せる稀有なカメラ」です。
① Nikon ZR|水中撮影用おすすめ設定
(Log/非Logを明確に使い分け)
結論の使い分け
| 用途 |
推奨 |
| プロモ・HP・長期使用 |
Log(RED思想) |
| SNS即出し・量産 |
非Log(Cine/Standard) |
| お客様記念動画 |
非Log or 軽Log |
A. Log撮影(シネマ・編集前提)
■ 基本思想
- 露出は「守る」より「余白を残す」
- ハイライトを絶対に飛ばさない
- シャドウは後で持ち上げる前提
■ 予想推奨設定
| 項目 |
推奨 |
| ガンマ |
Log(ZR Log / RED系Log) |
| ビット深度 |
10bit以上 |
| 色域 |
Wide Gamut |
| ISO |
ベースISO固定(2段以内) |
| WB |
マニュアル固定(5200–5600K目安) |
| シャープ |
OFF or 最弱 |
| ノイズリダクション |
OFF |
| LUT |
撮影時は当てない |
水中WBの考え方
- 浅場(〜10m):5200K前後
- 中深度(15–25m):5600K前後
※ オートWBは不向き
■ 露出の目安
- 白砂・泡:飛ばない
- ダイバー黒スーツ:完全に潰れてOK
- ヒストグラム:右7割以内
👉 RED系は後処理で戻せるが、飛びは戻らない
B. 非Log撮影(SNS・即納)
■ 予測推奨設定
| 項目 |
設定 |
| ピクチャープロファイル |
Cine / Standard |
| コントラスト |
-1〜0 |
| 彩度 |
-1 |
| シャープ |
+1以内 |
| WB |
マニュアル |
| ISO |
できるだけ低く |
👉 「そのまま出して破綻しない」設定
② ZR専用 Premiere カラープリセット
A. 基本フロー(Premiere)
- Log素材読み込み
- Input LUT(ZR Log → Rec709)
- プリセット補正
- 微調整
B. 経験から予測するプリセット設計
■ プリセット①
ZR_Diving_Log_Base
- 露出:+0.3
- コントラスト:+10
- ハイライト:-10
- シャドウ:+15
- 彩度:+5
👉 全クリップ共通ベース
■ プリセット②
ZR_Diving_BlueControl
👉 青かぶり抑制専用
■ プリセット③
ZR_Diving_SNS_Punch
- コントラスト:+15
- 彩度:+10
- シャープ:+10(弱)
👉 SNS最終用(最後にON)
C. RED思想的NG
- 強すぎるコントラスト
- 水中なのに黒を締めすぎる
- 彩度一括上げ
③ ZR導入前提の機材構成
A. ハウジング
■ 条件
■ 実務ポイント
- REC/ISO/WBを即触れる
- 内部収録前提(外部レコーダー不要)
👉 大型・高価だが安定性最優先
B. ポート構成(最重要)
■ ワイド(8割これ)
- 大型ドームポート
- 超広角ズーム
- 群れ・地形・ドリフト
👉 ZRの価値を一番活かせる
■ マクロ(2割)
👉 AF過信しない
C. ライト運用
| シーン |
方針 |
| ワイド |
基本使わない |
| 中距離 |
弱く補助 |
| マクロ |
必須 |
👉 ZRは自然光主体が最も美しい
④ 運用フロー(現場〜編集)
- 撮影前にWB・Log確認
- ダイブ中は露出だけ意識
- 帰港後バックアップ
- Premiereテンプレ投入
- Frame.ioで確認
👉 「迷う余地」を消すのが重要
⑤ 正直なデメリット(重要)
① 機材が重く・高価
② 適当に撮ると“重いだけ”
③ データ容量が膨大
④ AFは万能ではない
総括(導入判断)
Nikon ZR は「水中シネマを本気で回す人向け」です。
✔ プロモ品質
✔ SNS展開
✔ 外注編集
✔ ブランド映像
を全部やるなら、現時点で最強クラス。